2006 Fiscal Year Annual Research Report
セルフヘルプの社会的認知度と支援活動の関連についての日独比較研究
Project/Area Number |
18530220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
豊山 宗洋 大阪商業大学, 経済学部, 助教授 (80268292)
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Keywords | セルフヘルプ支援センター / ドイツ / センター間のネットワーク |
Research Abstract |
平成18年度においては、まず、大阪のセルフヘルプ支援センター(以下SHC)の電話相談の記録票を整理するという目的を立てた。これについては、1993年から現在までを予定していたが、2004年と2005年の2年間しかできなかった。2004年の電話相談は86件、2005年は61件であり、2004年はひきこもり、2005年はうつの相談が最も多いことがわかった。ほかにも個々の相談の具体的状況、紹介したグループのデータを整理した。 2つめの目的は、わが国の7つのSHCを訪問して聞き取り調査をおこない、実態をまとめることであった。これについては栃木、埼玉、神奈川(2つ)、長野、大阪、兵庫、宮崎の8つをまわることができ、とくに長野までの5つについては、論文にまとめることができた(平成19年度中に発表予定)。そこでは、SHC運営そのものが既存の枠を越えたところにあるため、とくにボランティア中心のSHCは地域で孤立しがちであることを指摘した。 3つめの目的は、ドイツ・ギーセン市のSHCで参加的考察をおこない、そこでの具体的な活動に関して情報を集めることであった。所長のマツァットは、ドイツのSHCの多様性を知るため、小都市型のギーセンだけでなく、大都市型のフランクフルトのSHCへの参加も薦め、実際に参加できるようにしてくれた(この結果の一端については日本社会福祉学会第54回全国大会で報告した)。そこにおいて私は、SHC相互間のネットワークが効いていること、孤立しがちなわが国のSHC相互間でのネットワーク形成が重要であることを再認識した。それゆえ、どのような形態でのネットワーク運営がわが国に適しているのか、その課題を平成19年度に考察するつもりである。
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