2007 Fiscal Year Annual Research Report
福祉ガヴァナンスにおける社会的企業と公共部門の役割分担に関する研究
Project/Area Number |
18530221
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
北島 健一 Matsuyama University, 経済学部, 教授 (60214798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 清史 立命館大学, 学長, 教授 (40102157)
的場 信樹 佛教大学, 社会学部, 教授 (20283088)
清水 洋行 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50282786)
藤井 敦史 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (60292190)
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Keywords | 社会的企業 / 自立支援 / 社会的排除 / 包摂 |
Research Abstract |
当該年度は,主に次の二点を軸に研究をすすめた。(1)日本で「社会的企業」とみなしうる一つの典型的な事例として,障害者の就労に関わる事業体の調査を行った。とくに,健常者と障害者が「ともに働く」という理念の下に,障害者と雇用関係を結ぶことを重視しながら,障害者の就労自立と「社会参加」を同時に進める滋賀県の社会的事業所,事業所型共同作業所を調査対象にした。もう一つは,(2)日本の社会政策の中で,社会的企業をどのように位置づけていくことができるのか,最近の「社会的排除/包摂」に関する研究からそれを探った。 現在の日本でも,さまざまな不利な条件のために「低所得者」となっている人々の「援護」の必要性が高まっているが,日本の場合,就労自立への支援(労働の側面)が強調され過ぎており,「つながりの再構築」や生活支援(ソーシャルな側面)が後景に退けられる傾向がある。滋賀県の社会的事業所(これこそ社会的企業と呼ぶにふさわしいと考えている)のような両者を同時に追求する仕組みを明確な形で施策の体系に取り入れていく必要があると考えられる。しかし,現実には,この滋賀県の単独の制度も,国の障害者自立支援法の制定や財政問題などによって,隘路に立たされている。一方,障害者自立支援法による新しい制度が,現に存在する滋賀県の社会的事業所のような民間の自発的な取り組みを生かせるようなものになっているのかといえば,それについてはまだ不明な点も多い。
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