2008 Fiscal Year Annual Research Report
福祉ガヴァナンスにおける社会的企業と公共部門の役割分担に関する研究
Project/Area Number |
18530221
|
Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
北島 健一 Matsuyama University, 経済学部, 教授 (60214798)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 信樹 佛教大学, 社会学部, 教授 (20283088)
|
Keywords | 社会的企業 / 雇用政策 / ワークフェア / コミュニティビジネス |
Research Abstract |
日本より一足先に韓国で社会的企業育成法が施行された(2007年7月)。この急展開を受けて,昨年度は,H20年度研究実施計画にあった「日本の社会的企業の実態調査」および「参照基準としてのヨーロッパにおける社会的企業の政策上の位置付けの検討」をいったん棚上げにすることにし,韓国における社会的企業の登場の背景や現状の検討に優先的に取り組むことにした。 その結果,韓国の社会的企業の育成法は,社会的企業のような社会的な目的をもつ事業体の形成を促すさまざまな別個のロジック(市民的連帯,福祉から労働へーワークフェアー,雇用創出)が交錯しながら合流した結果であることが分かった。そして,そのような韓国の展開を踏まえて,社会的企業を「ロジックの束」として把握すると,ヨーロッパにおける社会的企業も,一様ではなく国ごとに特徴のあるものとして捉えなおすことができるのではないかとの仮説に至った。さらには,日本の社会的企業をめぐる議論(経産省のコミュニティビジネスの議論)もまたその視点の枠組みで特徴づけることができるように思われた。そこで,昨年度の末にヨーロッパに出張し,フランス人研究者(ラヴィル)やベルギー人研究者(ドゥフルニ)を相手にこの研究成果の大枠を話し,またNPO学会でも簡単ながら報告した。 ラヴィルには数日後にCNAMの博士課程のゼミでも簡単に報告するよう要請されたので,一定,関心を持ってもらったように感じた。しかしまだ根拠の弱い仮説にすぎないし,さらにはこの切り口から政策的な提言を展開していくには,さらなる工夫なり掘り下げが必要である。今後の研究課題をこのような方向で設定したい。
|