2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本の企業集団における株式所有構造の意義についての実証分析
Project/Area Number |
18530228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊藤 彰敏 筑波大学, 大学院ビジネス科学研究科, 助教授 (80307371)
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Keywords | 上場子会社 / 企業統治 / 企業集団 / 少数株主 / 内部資本市場 |
Research Abstract |
本研究における平成18年度の成果としては、2004年度-2005年度の企業集団に関する詳細なデータベースを構築したことである。具体的には、連結対象範囲を企業集団の単位として定義し、すべての上場会社についてその上場(店頭登録を含む)子会社・上場関係会社のリストを作成、上場子会社・上場関係会社における親会社の株式所有比率、役員における親会社の影響力、親・子ともにその他の株主構成や様々な財務変数を準備した。 続いて構築したデータベースを用い、親会社による上場子会社の株式所有の影響について以下の仮説を検証した。すなわち、(1)企業集団は市場における契約コストや取引コストを削減し、かつ効率的な内部資本市場を形成している、(2)上場子会社は親会社による企業統治のため、より効率的な経営がなされている、(3)親会社は、上場子会社の少数株主と利益相反を起こしている、といった仮説である。 実証結果によれば、持株比率を高め、同時に役員での親会社出身者の比率を高めるなど上場子会社を強く支配している親会社の場合、内部資本市場が効率的に機能していることが判明した。また、やはり親会社による強い支配がなされている上場子会社の業績は良好であり、少数株主との利益相反の可能性は少ないとの結果を得た。その他、上場子会社の経営陣のインセンティブ、親会社のガバナンス構造が上場子会社の業績に大きく影響することも判明した。
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