2007 Fiscal Year Annual Research Report
公共政策の家計内資源配分にあたえる影響の実証および理論的分析
Project/Area Number |
18530229
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内藤 久裕 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (00335390)
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Keywords | リスクシェアリング / 税制 / 家計内資源配分 |
Research Abstract |
理論的分析に関しては、リスクシェアリングの問題に関して分析をおこない、論文を一橋大学経済研究所で報告をおこない、国際学術誌に投稿し現在審査中である。この研究では、これまだ仮定されてきた労働所得のリスクシェアリングでなく、資本収益のリスクシェアリングに焦点を当てて研究を行っている。もちろん資本市場が効率的であれば、資本収益の不確実性は資本市場や保険市場をつうじてプールされるはずであるが、そのようなリスクシェアリングはモラルハザードやアドバースセレクションのためプールされない可能性がある。そのような場合、消費税などによるリスクシェアリングや年金の私的化による経済効率性上昇の可能性が発生する。本研究ではそのような可能性が存在する事をしめし、また実証的に意味のある定式化を行った。 また家計内資源配分の応用として、Kenya Taxation AuthorityのYush Kariuki氏と成人死亡率と人的資本の蓄積に関して、kenyaの大規模センサスとヘルスデータを使い実証研究を行った。 この分析のアイディアは、成人死亡率の高い地域では、子供への投資から得られるリターンが確率的に低くなるため、親は子供に人的な投資をしなくなるというものである。より詳して検証の必要があるが、現在の実証結果は、成人死亡率が高い地域では、人的資本の蓄積が少なくなるという結果が得られている。 また今年度は、論文が Hisahiro Naito "Atkinson-Stiglitz Theorem with Endogenous Human Capital Accumulation," The B. E. Journal of Economic Analysis & Policy:Vol.7:Iss.1(Contributions), Article 46, 2007 として出版された。
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