2007 Fiscal Year Annual Research Report
行動ファイナンスによる地域金融機関の貸出行動の分析とリレバン型経営モデル
Project/Area Number |
18530232
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
青木 達彦 Shinshu University, 経済学部, 教授 (50092854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
六浦 光一 信州大学, 経済学部, 教授 (00106147)
池田 欽一 信州大学, 経済学部, 准教授 (10334880)
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Keywords | 地域密着型金融 / 経営改善支援取組み / 不良債権処理の進捗 / 債務者区分間遷移 / 主成分分析 / 順位相関 / 企業・銀行間関係 |
Research Abstract |
関東財務局管内の信金を取り上げ、地域金融機関がリレーションシップバンキング機能を通じて「地域密着型金融」を推進すべく「集中改善期間」とされた平成15年度と16年度の2年間にわたるその進捗状況を分析した。そのために不良債権処理パターンに関する主成分分析で用いられる変数の統計データを、日経NEEDSのオンラインデータベース中の金融機関財務データを元に加工して求め、また各信金のホームページで開示された経営改善支援取組み実績に関する不良債権の区分間遷移状況を採録して『データ篇』にまとめた。本研究が行ったのは、不良債権処理の進捗、処理方法の背後で経営改善支援機能がどのように関係しているかを見ようとしたことであるが、そのために独自に行ったことは、債務者区分間遷移実績(ランクアップやランクダウン)を、(信用コストを考慮後の)事後的利ざやへの寄与度を通して各金庫を順位付けたということ、さらにこれを、不良債権の処理進捗を主成分分析によってパターン化し、主成分ごとに各金庫の得た主成分得点による順位付けと関連付けることによって、双方の順位系列を相関させたということである。ここに順位相関で有意な係数を用いて各主成分の処理パターンを解釈し、いくつかのファクトファインディングを得た。たとえば、破綻懸念先以下重度の区分に対しても容易に償却整理せず時間をかけた経営改善支援の試みがなされており、地域密着型金融推進の努力を多くの主成分で確認できた。しかし他方、経営支援先として成長性のある先を選んで上方遷移させつつ、経営内容に難点のある先は、厳格な査定と引当金の積み、償却整理といった2面作戦も見られた他、地域密着型金融の名の下に、いわゆる「追い貸し」の存在も検出された。 今後、経営改善支援取組みを超えて一層の融資先企業と中小企業金融との関係構築を考察する研究が予定されており、売上高で見た経営悪化企業(3業種)に対する融資行動を通しての企業銀行関係の分析、東京商工リサーチより取得した倒産データを用いてのそれらの分析が進められている。
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Research Products
(2 results)