2006 Fiscal Year Annual Research Report
自治体改革の研究 〜ケーススタディを踏まえた実証分析〜
Project/Area Number |
18530234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齊藤 愼 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70093565)
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Keywords | 地方財政 / 行財政構造改革 / ケースステディ / 行革効果 / 国庫補助負担金 / 決算 |
Research Abstract |
まず第1に、地方団体の歳出決定に財政制度がどの程度影響を与えるかの分析を行った。通常は、主として外生的要因により地方歳出が決定されるため、地方団体には裁量の余地が極めて少ないと指摘されることが多い。そうではないケースを具体的に示すために、もっとも基本的な公共支出である生活保護を取り上げ、生活保護に関するマクロデータを用いた実証分析を行い、地方公共団体にとっては所与とされる制度的条件の一つとして補助率を取り上げ、これが地方団体の決定する生活保護率に影響を与えるか否かをグラフを用いて検証した。そのために、1980年代の補助率がカットされた時期と、その後に一部回復された時期を比較し、他の外生的条件が等しくても、補助率が異なると生活保護率も異なることを明らかにした。その結果、補助率が保護率に大きな影響を与えているのではないかとの結論を得た。この結果については、拙稿「地方財政のあり方と国庫補助負担金改革」『都市問題研究』(2007年2月号)として公刊した。 次に、「行財政構造改革」に関して、クロスセクションデータを用いた実証分析とケーススタディを並行的に行った。対象としたのは、都道府県では大阪府、政令指定都市からは大阪市、中核市の代表例として兵庫県姫路市、一般市の例として大阪府池田市を取り上げ、各団体の担当者からのヒアリングを終了した。その後、裏づけのためのデータ収集および分析を行いつつある。ケーススタディは、通常のクロスセクションデータを用いた分析とは異なり、かなり詳細な情報が必要である。つまり、どの予算が削減されたかあるいは減少したかは、大まかな項目では分からないと同時に、他の項目に振り替えられている可能性もあるので、詳細にチェックする必要がある。現在、歳出削減効果とされている数値と決算の関係を整理中である。
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Research Products
(1 results)