2007 Fiscal Year Annual Research Report
自治体改革の研究 〜ケーススタディを踏まえた実証分析〜
Project/Area Number |
18530234
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齊藤 愼 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 教授 (70093565)
|
Keywords | 地方財政 / 行財政構造改革 / ケーススタディ / 行革効果 / 決算対比 |
Research Abstract |
国および地方公共団体の行財政構造改革の必要性が唱えられてから10年以上経過し、この間にさまざまな取り組みがなされてきたが、その財政的効果がどの程度であったのかの検証がほとんどなされていない。 そこで、本研究では、試論的に、ケーススタディの手法を活用し、財政的効果の把握と決算との対比を試みた。研究対象の地方公共団体として、都道府県の中から大阪府を、政令市から大阪市および京都市、中核市から姫路市、特例市から豊中市、都市として泉大津市、をそれぞれ選定した。これにより、地方公共団体の機能別の差異および人口規模別の行動の差異を観察できるものと考えた。また、これらの地方公共団体の財政構造改革へ金融面から影響を与える影響を把握するため、日本政策投資銀行のアドヴァイザー活動を調査した。 最終的には、このうち、姫路市、豊中市および大阪府を取り上げ、ケーススタディを行った。特に、このうちで、比較的詳細な資料が公表されている大阪府を詳しく取り上げた。地方行財政改革に先駆的に取組んできた大阪府の事例を通して、改革前の財政見積もりと改革後の決算数値を対比させることで改革の効果を検証した。 その結果、暫定的な結論ではあるが、決算ベースでの財政状況の改善は地方公共団体の取組みによる自助努力による効果も大きいが、それ以上に、「三位一体の改革」を始めとする国の政策、またその他の外生的要因が大きく影響している可能性があることを指摘した。 全国の地方公共団体の改革が、一般会計のみに焦点をあて、独立行政法人化等による会計上の振替や国の政策による外生的要因に依存しているならば、見せかけの改革効果となっている恐れがあることを最後に強調したい。
|