2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530240
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
森 徹 Nagoya City University, 大学院・経済学研究科, 教授 (60134160)
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Keywords | 地方交付税制度 / 地域間財政力格差是正 / 地方財政調整基金制度 / 実験経済学 |
Research Abstract |
本研究に関し、平成20年度に実施した研究内容は次の通りである。 1.地方交付税制度および地方財政調整基金制度の経済厚生効果計測の方法の検討と試算 図解と通常の微分積分法を用いて導出した経済厚生効果の計測式(伊多波教授によって提示された等価変分による経済厚生効果の計測式)にもとづいて、地方交付税制度や本研究で提案している地方財政調整基金制度が存在することによる各都道府県別の地域住民の経済厚生の向上効果を試算した。試算の結果は、基金制度の方が交付税制度より財源額を変更する効果が小さいため、都道府県間の経済厚生向上効果の格差は、基金制度の方が小さくなるというものであった。ただし、本研究での経済厚生効果の計測は、財政調整制度が存在しない場合の各地域での就業者数や消費水準の推計を必要とし、この推計に関し、比較的多数の都道府県で、財源変化額に関する係数の推定値が、理論的期待とは異なる符号を持ち、経済厚生効果の推計結果の信頼性に問題を生じさせるものであった。 2.各地域の拠出額に限度を設けた上での基金制度の性能を検討するための意思決定実験の実施 地方財政調整基金制度において、各地域が、基礎的財政需要を賄うために必要な財源部分につ射手は、基金への拠出に当てることはできないとした場合においても、地域間の協議によっで基金制度が円滑に運営され、地方交付税制度に匹敵する財源再分配効果を発揮しうるか否かを検討するための意思決定実験を実実質施した。実験の結果、基金への拠出額にこのような制限を加え、再分配前財源の乏しい地域が、基金への拠出に関する協議に実質的に参加できない状況の下では、基金が集めうる再分配財源が限定され、再分配前財源の豊かな地城の拠出へのインセンティブも弱まるため、基金制度の円滑な運営は期待できず、この制度の財源再分配効果も非常に弱いものになることが、明らかにされた。この実験的研究の内容は、研究成果欄に記載の論文にまとめられている。 なお、本年度の研究の遂行にあたっては、次の3氏に連携研究者として協力いただいた。 四日市大学経済学部教授稲垣秀夫氏(平成21年度より、和歌山大学経済学部教授) 名城大学都市情報学部教授鎌田繁則氏 名城大学都市情報学部教授赤木博文氏
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Research Products
(1 results)