2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本・韓国・台湾のベンチャーキャピタルパフォーマンスの比較研究
Project/Area Number |
18530241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
伊東 和久 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (90295832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 進哉 中央大学, 経済学部, 教授 (50176509)
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Keywords | ベンチャーキャピタル / ベンチャービジネス / ピライベートイクイティー / 新竹科学工業園区 / シリコンバレー / 株価形成 / 技術とファイナンス / IT |
Research Abstract |
日本・韓国・台湾のベンチャーキャピタルのパフォーマンスを比較研究するため、まず日本の代表的なベンチャーキャピタルとベンチャービジネスを訪問し、ヒアリングを行った。これまで日本の金融機関では理系出身者が投融資判断に関わることが少なかったのに反してベンチャーキャピタルで積極的に採用し、資金供給者の立場からも適正な株価形成を行うようになったことが分かった。また、ベンチャービジネスにも理系研究者がMBAを取得し、参加し始めるなど日本のこれまでの文系・理系という分離したディシプリンの在り方が改善されつつあることが明らかとなったことである。これに対し、治湾は80年代に政府による積極的な海外留学者の帰国を図り、シリコンバレーで生じたハイテクベンチャー起業を新竹科学工業園区で実現するための包括的な施策を取った結果、とくにIT産業分野で上場企業が増加し、しかも世界的に有数な企業にまで成長するケースが多かった。しかもこれらの企業に対しては同じくシリコンバレーでの経験を積んだベンチャーキャピタリストが積極的に関与し、ベンチャーキャピタルは金融持株会社制度の発足に伴い各金融グループの中に位置づけられ、台湾の各種金融サービスの一環として定着していることが明らかとなった。一方、韓国はITバブル期にベンチャービジネス、ベンチャーキャピタルともに発展し、バブル崩壊とともに沈滞期を迎えたが、ここ2、3年回復を見せ、大手ベンチャーキャピタルは積極的な展開を見せている。以上、日本、韓国、台湾のベンチャーキャピタルの比較からともにその役割が定着しつつあり、技術とファイナンスの結合した新たな分野が確立しつつあることが明らかとなった。また、ベンチャーキャピタルが広い意味のプライベートイクイテイーに包摂されつつあるが、ハイテク技術に対するファイナンス供給の固有の金融分野として存在し続けることが十分予想されるという結論を得た。以上の研究は研究代表者(伊東)と研究分担者(井村)、研究協力者(陳・柳)による現地調査によって得られた結果であり、この結果を次年度以降、研究論文、学会発表等で成果として発表する予定である。
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Research Products
(7 results)