2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本・韓国・台湾のベンチャーキャピタルパフォーマンスの比較研究
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18530241
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
伊東 和久 Prefectural University of Hiroshima, 人間文化学部, 教授 (90295832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 進哉 中央大学, 経済学部, 教授 (50176509)
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Keywords | イノベーション / ベンチャーキャピタル / IPO(新規公開株式発行) / オフショアファイナンスセンター / 新興資本市場 / ベンチャービジネス / 段階別投資 / IT |
Research Abstract |
東アジアにおけるポスト重化学工業化としてのハイテク産業育成の手段の一つとしてベンチャーキャピタルがハイテクベンチャー乱企業とともに優遇支援されてきた。日本、韓国、台湾のベンチャーキピタルが産業政策、科学技術政策、そして金融システムに如何なる位置を占め、如何に先端産業育成に寄与してきたかを評価・分析することが本研究の目的であった。この研究目的に従って、前年度は、日本、韓国、台湾における現地調査を行い、研究成果を論文として著したが、その過程で、台湾のベンチャー企業、ならびにベンチャーキャピタルが中国市場に積極的に展開していることが明らかとなった。同様に韓国のベンチャーキャピタルも広大な市場潜在力を持つ中国に積極展開していることから、本年度は、中国のベンチャー起業とベンチャーキャピタルの活動について、大連、北京での現地調査を行う一方、引き続き韓国における現地調査を行った。この結果、中国のベンチャーキャピタルは海外の投資ファンドの比率が高く、人民元の為替管理と投資規制を避けるためにオフショアファイナンスセンターを経由し、外国市場で公開上場を行い、海外の投資家に投資収益が還元される仕組みとなっていることか確認された。中国の地場ベンチャーキャピタルファンドはハイテク企業の技術評価能力は低く、投資行動も先進国のファンドとは異なり、投資行動の改善のためには政策的な支援が必要であり、条件が整えば、エンジェル投資家なども出現しており、豊富な投資機会のある中国のベンチャーキャピタルファンドの発展は十分期待できることが明らかとなった。以上のような各国の比較研究から韓国、台湾、中国においては先端産業のキャッチアップにベンチャーキャピタルは程度の差はあるが寄与してきたことが明らかとなり、金融サービスの範囲が拡大し、先端産業の発展に貢献してきたと結論できる。また、日本と比較してベンチャーキャピタルのハイテク企業の発展への寄与度は大きかったと言えよう。 東アシア諸国に対して、比較の対象として注目を集めているインド、そしてフィリピンについても同様な目的での研究も行い、成果を発表した。 本年度は昨年度の成果に本年度の現地調査の結果を加え、学会発表(研究代表者と研究分担者の指導の下での研究協力者(柳在廣))、学会セッションの司会とコメンテーター(研究分担者)と論文発表を行い、その成果を公表した。
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Research Products
(7 results)