2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松本 睦 立命館大学, 経済学部, 助教授 (00253766)
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Keywords | 政府間競争 / 資本税競争 |
Research Abstract |
1.雑誌掲載論文:政府間税競争理論:資本税競争を中心にして,フィナンシャルレビュー 本論文では,税競争に関わる初期段階の研究を詳細に検討した上で,その拡張と位置づけられる諸研究を体系的に整理している.主な焦点は,地域間移動可能な事業用資本へ課税を想定した資本税競争に関する理論的研究である.この分野における標準的議論は,「資本誘致競争の結果として資本課税の水準は過小になり,効率的な公共支出水準を確保できなくなる」というものである.他方で,90年代以降には,理論モデルの拡張を通じて,「過小課税及び過小公共支出」の議論が必ずしも当てはまらないケースも確認されている.これらの新しい研究においては,利用可能な政策手段や経済状況に関する多様な前提条件の下で,課税対象の地域間移動性が公共政策決定に及ぼす影響や,分権的政策決定が経済全体の資源配分と住民厚生に及ぼす影響が多角的に検討されている.グローバル化が急激に進展している現状に置いて,国際的税競争の激化が予想されている.また,日本国内においても,分権化に伴い,地域間の企業・資本誘致競争が広く展開されることになろう.税競争研究は,このような政府間競争の経済的帰結を明らかにするものとし興味深い. 2.未公表論文: 18年度において,雑誌掲載論文以外に2本の研究論文(Entry in interregional competition ; Redistribution and regional development under tax competition)を作成した.前者は関西公共経済学研究会(兵庫県立大学,18年6月)及び応用地域研究会(名古屋大学,18年7月)において報告され,Regional Science and Urban Economics誌に投稿された(現在審査中).後者の論文についても,19年度に学会において発表の上,海外専門雑誌に投稿予定である.いずれの論文も税競争に関するものである.前者は,資本誘致競争に参加する地域数を内生化した研究であり,最新の税競争研究の動向に沿った内容である.後者は,税競争の下で地域開発が過大に実行されることを示した論文であり,非都市部への過大な公共投資配分の傾向を税競争の観点から説明するために作成したものである.
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Research Products
(1 results)