2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530251
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平沢 照雄 University of Tsukuba, 大学院・ 人文社会科学研究科, 教授 (70218775)
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Keywords | 下請 / 協同組合 / 中小企業 / 日本経済史 / 地域経済 |
Research Abstract |
本研究は、戦後日本において形成された下請協同組合の設立から解散に至る過程に着目し、地域下請企業にとっての組合の歴史的役割を考察するとともに、下請企業および地域経済の再生について展望することを課題としている。この観点から、特に本年度は、(1)長野県飯田・下伊那地方の産業構造および同産業集積の形成と発展過程、(2)同地域を活動基盤とするT社の発展史および(3)その下請協同組合加盟企業の事業展開に関して歴史実証的研究を行った。このうち(1)については、現地での資料調査によって、同地方の産業構造の特色として戦前は製糸、織物業が中心であったこと、これに対して戦時期の企業疎開を契機として精密、電気機械工業が集積され発展してきたこと、そしてT社も戦後の地域発展の中心的役割を担っていたことをとらえることができた。また(2)に関しては、T社の創業者に関する資料提供を受けることができ、さらに1990年代における独自の企業戦略に関する資料収集を行うことができた。この研究過程で、T社は、創業当初から地元地域経済の振興に積極的であったこと、同スタンスはその後も継承されたこと、そしてそれは90年代においても特有な企業戦略の構築に影響を与えた点などについて、新たな知見を得ることができた。さらに(3)については、昨年度、T組合加盟企業の青森進出について、現地(青森)でのヒアリング調査を実施したのをうけて、今年度は、青森に進出した別企業Iの事業展開について、資料収集と飯田でのヒアリング調査を計画した。しかしながら、I社と数度にわたり日程等の調整を行ったが残念ながら調査を実施することができなかった。そこで、I社を含めT組合加盟企業の事業展開に関する資料収集に重点を移し、地元の精密機械工業会等の機関誌などから加盟企業の創業の契機をはじめ企業内容に関する知見を得ることができた。
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