2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530251
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平沢 照雄 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (70218775)
|
Keywords | 協同組合 / 中小企業 / 日本経済史 / 地域経済 |
Research Abstract |
本研究は、戦後日本において形成された下請協同組合の設立から解散に至る過程に着目し、地域下請企業にとっての組合の歴史的役割とその限界を考察するとともに、組合解散後の下請企業および地域経済の再生について考察することを課題としている。この観点から本年度は、(1) 長野県南部の産業発展史、(2) 同地域の中心的企業であるT社の経営改革および(3)その下請企業の事業展開に関して歴史実証的研究を精力的に行った。このうち (1) では近年、三河、遠州、長野県南部の3地域を三遠南信地域と総称し、その有機的な発展を企図する動きに着目し、長野県南部とともに三河、遠州地域の産業発展をも射程におさめた調査・資料収集を実施することができた。また (2) に関しては、昨年度実施したT社に関する資料収集を踏まえ、約10年間にわたり経営改革を精力的に推進してきた同社社長へのヒアリング調査を実施し、同時に同社から経営改革に関する新たな資料提供を受けることができた。その結果、特に本研究の主要課題である下請協同組合が解散に至る経緯に関して、同社の企業戦略と関連しつつ貴重な証言を得ることができた。さらに (3) については、丁社の下請協同組合加盟企業であったものの経営不振に陥った企業の再生に着目し、現経営者へのヒアリング調査を実施した。その結果、当該企業の倒産が地域経済に及ぼす影響を重視して同社がT社のグループ企業として新たに再建されるに至る過程に関して貴重な証言を得るとともに、その際、同社の立地する村がどのような支援を行ったかに関しても資料の提供を受けるなど、昨年度までの研究にはなかった新たな知見を得ることができた。
|