2008 Fiscal Year Annual Research Report
戦後東アジア綿業の勃興期に関する広域的研究、1940〜50年代
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18530259
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
久保 亨 Shinshu University, 人文学部, 教授 (10143520)
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Keywords | アジア / 中国 / 経済史 / 第二次世界大戦後 / 綿紡績業 / 香港 / 台湾 |
Research Abstract |
本年度は3年間の研究成果を総括する意味を込め『20世紀中国経済史の探究』をまとめた。同書には研究代表者がこの3年間に学会で発表したか、あるいは活字化した5つの報告を掲載しており、本研究課題の解明を進める上で重要な諸問題がとりあげられている。すなわち第1章「戦後東アジア綿業の発展:香港と台湾の場合」では1945年から1955年頃までの東アジア経済に大きな意味を持った国境を越えた綿業の発展過程について、とくに香港と台湾における綿業の勃興に注目しながら論じた。続く第2章「戦時重慶の綿紡績業と国民政府」はやや時期をさかのぼり日中戦争期における中国内陸地域の綿業を考察している。経済発展の論理を探る上では、企業制度の検討が欠かせない。中国綿業の発展とも密接に関係するこの問題を第3章「企業管理公司の再検討」で取りあげた。第4章「中国の工業生産指数、1912-49年」は20世紀前半における工業生産指数を改訂する作業の最新バージョンである。綿業がその主軸に位置している。また最後の第5章「戦時経済から戦後経済への転換:その試みと挫折」は、この時期の中国経済全体の動向を鳥瞰した論稿である。本書は、各章とも日本語に加え中国語または英語で執筆された文章を付し、国外に研究を発信するための配慮が払われており、関係諸分野の研究者200人以上と国会図書館本館をはじめ内外の主な図書館、研究機関等に配布した。 また2008年8月には在華日系企業の歴史に関する国際ワークショップで「在華日資紗廠紡織生産設備以及其継承(在華紡技術の評価と継承をめぐって)」を、2009年3月にはグローバル・ヒストリー研究に関する国際会議で「戦後東アジア綿業の展開:中国内陸地域綿業の発展を中心に」を報告し、それぞれの出席者との間で有益な議論を深めることができた。
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Research Products
(6 results)