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2007 Fiscal Year Annual Research Report

ルール工業地域の形成・発達と環境問題:化学工業を中心に

Research Project

Project/Area Number 18530263
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

田北 廣道  Kyushu University, 経済学研究院, 教授 (50117149)

Keywords環境史 / 工業化 / 環境汚染 / 環境政策 / 住民運動 / ルール地方 / 化学工業
Research Abstract

2年間の研究成果は、学説史の考察と資料調査に基づく実証研究の2本柱から構成される。
(1)学説史:ドイツ学界で環境史研究は「子ども時代を終え」(Bruggemeier/Engels、2005)、成熟期を迎えている。初期段階のエコシステム論者と人間・自然関係に焦点をあわせる歴史家の方法的対立は既に、過去のものになたったが、一つの方法への収斂に向かうより、環境に関連した広範な問題領域へ拡散する傾向を見てとれる。但し、その分、「環境史の研究成果を組み込んだ工業化像の再構成」という1998年にHahnの上げた課題は、そのまま残されている。
(2)実証研究では、ドイツで最初にアニリン染料生産を手がけたイエガー会社を取り上げた。 (1)史料調査からは、イエガー会社をめぐる環境闘争が、およそ3つの段階を経て進むこと、それが化学工業の発達に伴い展開した環境問題の縮図をなすことを確認した。 1.1863-1875年バルメン時代:認可条件を遵守せず汚染物質を垂れ流したため、住民・市当局を上げた経営拡張運動が展開され、デュッセルドルフへの立地移転を余儀なくされる・ 2.1875-77年闘争:デュッセルドルフ行政区の「第4四半期の最も典型的事例」(下の(2)参照)。 3.1880-1908年闘争:廃水処理をめぐる問題が闘争の焦点となる時期。1886年「ドイツ化学工業利害擁護連 (2)上記の第二期の環境闘争を検討した。その際、A.Andersenの所説・方法を踏襲して「周辺住民」と「生産・自然サイクルの接点である」工場内環境を考察した。その主要な成果は、次の通りである。 1.住民の強固な抵抗の基礎にあった「隣人権」は、認可制度の公示・異議申し立て・意見聴取会として名残を留めており、この時期十分機能していた。 2.それでも住民は勝利を得ることが難しくなっていた。一つは、1855年化学工業独自の認可制度が導入されて、事後的な改善請求権を当局が留保して認可発給を行えるようになったこと。もう一方で、科学技術の先端を行く化学工業にとって被害との因果関係を論証することが婚案となってきなこと(その過程で科学者は、進歩思想の代表者として工業発達を促進しがちたったこと)。その意味から、化学工業は、住民抵抗を抑えつつ大工業が成長する道均しをした。

  • Research Products

    (2 results)

All 2008 2007

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] ルール地方の化学工業と環境運動:1875-1877年イエガー染料会社を例として2008

    • Author(s)
      田北 廣道
    • Journal Title

      経済学研究(九州大学経済学会) 74-4(印刷中)

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 日欧エネルギー・環境政策の行方:『京都議定書』中間総括以降の動き2007

    • Author(s)
      田北 廣道
    • Journal Title

      経済学研究(九州大学経済学会) 73-5/6

      Pages: 15-45

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2010-02-04   Modified: 2016-04-21  

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