2008 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおけるエスニック・マイノリティ女性の労働とその変容:1951-1979
Project/Area Number |
18530267
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
奥田 伸子 Nagoya City University, 大学院・人間文化研究科, 教授 (00192675)
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Keywords | 移民 / ジェンダー / エスニシティ / ブラック・フェミニズム / 女性労働 / イギリス |
Research Abstract |
本年度前半は、9月に報告を行った「20世紀後半のイギリス社会における"Race"IssueとFeminism」のための準備に当てた。この報告では、本研究課題がカヴァーする最終時期である70年代におけるマイノリティ女性による労働争議を中心に分析した。この時期には、1974年のImperial Typewriterおよび,NHS(看護師中心)、および1976Grunwick Processing Laboratoriesがある。これらの労働争議についは、一定の紹介があるものの、マイノリティの異議申し立てとして認識されており、女性運動史、女性史として、白人女性との関連では十分に分析されてこなかった。また、1979に結成されたSouthall Black Sistersは、Black Communities内における女性の人権侵害の告発。宗教的原理主義への異議申し立てなどを行った。いずれもここの白人団体からの協力は得られるもののWhite feminism一般からの援助は得られなかったことをしめした。 本年度後半は、特に労働力移動の過程におけるジェンダーとエスニシティ分析、および労働市場のジェンダー構造は絶えず再編成について、近年の研究を整理し、本研究課題のまとめを行った。最近の研究(例えば、Wilson, Dolly Smith,"Gender, Race and Ideal Labour Force"in Ryan and Webster eds., Gendering Migration Masculinity and Ethnicity in Post-War Britain, Ashgate, 2008)は,「白人男性労働者」対「白人女性女性労働者・(男女)移民労働者」という構図で理解しているが、この構図は単純化されすぎており,労働市場のダイナミズムや,労働力移動にともなうジェンダーの揺らぎの局面が捉えられていないと考えこの点を補うためにこれまで収集した資料の分析を行っっている。今年度中に論文などの形で、成果を発表することはできなかったが、現在準備中であり、来年度中の発表を予定している。
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