2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530269
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本野 英一 Waseda University, 政治経済学術院, 教授 (20183973)
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Keywords | 商標 / 知的財産権 / 版権 / 特許権 / 英中関係 / 日中関係 / 米中関係 |
Research Abstract |
本年度は、主として当該時期に中国で出回った偽造商標の写真データベースの作成のために、イギリス国立公文書館所蔵の領事報告(FO228)に収録されている偽造商標見本を全てデジタルカメラで撮影し、そのデータベースを作成した。もう一つの活動は、中国で販売されていたイギリス、アメリカ企業の製品(コンデンスミルク、石鹸、マッチ、綿布、タバコ)の模造商品、偽造商品を製造し、中国人に委託販売させていた日本人製造業者に関する情報を集めることに専念した。彼等に関する記録は、日本外務省外交史料館所蔵の外務省記録、上記イギリス国立公文書館、そしてアメリカ国立公文書館所蔵の領事報告文書に数多くの記録が残っており、今年度の活動によってこれらが全てそろったことになる。 具体的には、1907年から1919年にかけて、中国で自国製品(主として綿糸、マッチ、タバコ、殺虫剤他薬品)を販売し、中国人に偽造模造商標を添付した粗悪品を販売されて大損害を負った日本企業の訴えに基づく日中間外交交渉と、逆に中国で自国製品を販売していた英米企業の製品(石鹸、綿糸、蝋燭、コンデンスミルク、化粧品)の模造商標であることは明白でありながら、日本国内で商標登録済みであること、逆に本家本元の英米企業製品が、日本国内で商標登録手続きを踏まえていなかったことが理由で発生した外交紛争である。法手続き的には日本企業を訴えることができないために、委託販売を受注していた中国人を相手取った裁判という形で紛争が表面化したいた。以上の紛争がきっかけとなって1920年代には、商標法の制定が焦眉の急となって中国の通商外交上の大問題になるまでを踏まえて、今年の研究成果として発表する予定。
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