2007 Fiscal Year Annual Research Report
わが国企業のペイアウト政策に関する定量的・定性的研究
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18530278
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
砂川 伸幸 Kobe University, 経営学研究科, 教授 (90273755)
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Keywords | ペイアウト / 長期パフォーマンス |
Research Abstract |
今年度は,企業のペイアウト政策が株価の長期パフォーマンスに与える影響を定量的に分析すると同時に,企業の財務担当者の方へのインタビューを通じて,わが国企業のペイアウト政策に関する意識を調査した。前者の研究成果は「企業のペイアウト政策と株価の長期パフォーマンス」として,国民経済雑誌に発表した。研究では,日本企業の自社株買いの長期パフォーマンスが,パフォーマンスの測定方法に依存することが明らかとなった。従来の方法であるマーケット・インデックスをベンチマークに用いると,自社株買いを行った企業の株式は長期的に上昇している。一方,近年提唱されている企業規模と簿価・時価比率(BM比率)を調整する測定方法を用いると,自社株買い後の長期パフォーマンスはマイナスになる。今後,企業の財務戦略を評価する際には,どのような評価尺度を用いるかに注意する必要がある。後者の調査結果は,著書『日本企業のコーポレートファイナンス』において発表した。わが国の企業は,国際的なペイアウトの潮流と国内同業他社の動向を意識しつつ,自社の経営環境に適したペイアウトを工夫していることが分かった。マブチモーターは,業績に関する投資家との一体感をもつため,業績連動型配当を導入している。資生堂は投資家の声にいち早く反応する形で総還元性向という指標を導入し,NTTドコモはグローバルなテレコム各社の配当政策を参考にしつつ配当や自社株買いを行っている。投資家から配当性向や総還元性向,DOEに対する目標値の導入を求められる中で,企業は独自のペイアウト政策を探求している。
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Research Products
(2 results)