2007 Fiscal Year Annual Research Report
企業行動に対する外部モニタリングの効果と限界に関する実証研究
Project/Area Number |
18530284
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 光太郎 Keio University, 大学院・経営管理研究科, 准教授 (90381904)
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Keywords | 経営学 / 経営財務 / 資本市場 / 企業再生 / M&A / 株主行動主義 |
Research Abstract |
本研究の目的は、企業再生とM&Aを題材に、日本のコーポレートガバナンス(特に出資者に適正なリターンを確保する監視メカニズム)の構造とその効率性を実証分析により明らかにすることである。従来の日本のガバナンスの担い手であったメインバンクやグループ企業(系列)と、新たな担い手として期待されている株式市場に焦点を合わせる。平成19年度の研究の結果、銀行やメインバンクが主導する財務破綻企業の企業再建策が、市場からは問題の先送りとして見られ、低い評価しか受けないこと、銀行に対する監督当局の監視程度が重要性を持つことを示した(論文名"Corporate restructuring in Japan:Who monitors the monitor?")。本論文は、アジアファイナンス学会での報告を経て、既にJournal of Banking and Financeの内容審査を通過している。また、株式市場については、株主間(特に大株主と一般株主)の利益相反に起因する問題点を買収を例に検証を進めている。第1に、アクティビストファンドが、資本効率の低い株価の割安な企業を投資対象とし、その投資が一般株主価値を増大していることを明らかにした(論文名「アクティビストファンドの功罪」.、『経済研究』掲載)。ただし、この効果がファンドによる規律付け効果なのかは曖昧であり(論文名「アクティビストファンドの効果:日米比較」『証券アナリストジャーナル』掲載)、平成20年度の研究テーマとしている。また、非公開化TOBを分析し、TOBプレミアムの決定要因、TOBプレミアムと株主のテンダー行動の関係を明らかにし、MBOなどで買い手が一般株主利益を収奪している可能性を示した(論文名「日本のTOBは強圧的か?」、『M&A時代のファンドと株主価値』掲載)。
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