2006 Fiscal Year Annual Research Report
制度理論から分析する日本型ビジネスシステム・日本型人事システムの形成・定着・変化
Project/Area Number |
18530292
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
須田 敏子 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 助教授 (70387992)
|
Keywords | 経営管理 / 人事システム / 国際比較 / 制度理論 |
Research Abstract |
研究内容の発展の主要な方向性としては、(1)制度経済学が主張する経済システムの補完性の応用、(2)制度理論とともに分析型戦略論、内部資源重視型戦略論などを加えた包括的な人事システム研究、の2つが挙げられる。 一番目の方向については、研究計画提出当時は、研究対象として制度理論の中でも制度社会学に中心をおいていた。この方向性に変化はないが、制度経済学、特に比較制度経済学が主張する制度内外の補完性の概念をとりいれ、日本の企業システムと日本型人事システムの補完性(外部補完性)、日本型人事システム内の補完性(内部補完性)、外部補完性・内部補完性の形成・変化のプロセスの研究を行う。この面での研究成果としては、2006年8月のAcademy of Management (US) Annual Meetingでの発表、2006年9月の日本労働政策研究会での発表がある。 二番目の方向については、制度理論は制度補完性・戦略的補完性などの要因によって、国や産業フィールドによってすべての組織に共通なベストプラクティスが存在するという立場にたつ。これに対して、競争優位の源泉として、他社との差別化が必要というのが、経営戦略論の全般な主張である。このように制度理論と経営戦略論では人事システムに対して異なる主張を行なっており、人事システムの研究には幅広い理論的アプローチを取り込んだ包括的なアプローチが必要との認識から、制度理論と経営戦略論を統合した人事システムの包括的なアプローチの研究をスタートした。具体的に取り上げる経営戦略論の分野は、分析型戦略論と内部資源重視型戦略論である。分析型戦略論では1980年代に経営戦略と人事戦略のマッチングを提唱する数々のマッチングモデルが提唱された。内部資源重視型戦略論は1990年代以降に焦点が集まっている分野だが、人事管理の分野でも内部資源重視型戦略論のフレームワークに基づくモデルが提案されてきている。2006年度においては制度理論による日本型人事システムの研究とともに、これらの経営戦略論のフレームワークを用いて、より包括的な研究をスタートさせている。成果としては、最初の論文を日本労務学会誌に投稿したが、査読結果はまだでていない。2006年度内では、実務者向けの講演会で初期の研究成果の発表を行なっており、2007年4月には目本経営教育学会で発表の予定である。2007年度には学術誌・実務家向け雑誌の両方でさらに積極的に出版を目指していきたい。
|