2008 Fiscal Year Annual Research Report
制度理論から分析する日本型ビジネスシステム・日本型人事システムの形成・定着・変化
Project/Area Number |
18530292
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
須田 敏子 Aoyama Gakuin University, 国際マネジメント研究科, 教授 (70387992)
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Keywords | 経営管理 / 人事システム |
Research Abstract |
制度経済学の枠組みに基づいて、日本型人事システムの特色と補完性タイプを明らかにした。さらに対照的なアングロサクソン型人事システムについてもその特色と補完性タイプを明らかにした。制度社会学では企業に影響を与える要因として制度環境と技術環境の2つのタイプの環境要因を指摘しており、企業はこの両者に適応することによって経済的利益を得ると主張している。この制度社会学の枠組みに基づき、日本型人事システムが戦後とのように形成されてきたかを分析した。 近年、変化している日本型人事システムの変化のメカニズムを制度経済学・制度社会学、さらに経営戦略論の枠組みから分析する。日本型人事システムとの言葉が示すように経済学・社会学の両分野で制度理論は1国の企業における人事システムの同質性を主張しており、特定の社会における企業の施策(この場合は人事システム)が同質化しやすく、またいったん定着したシステムの安定性に関しする説明としては優れた理論であるが、同じ国で個別企業が選択する戦略の異質性と、いったん社会に定着したシステムが変化していくメカニズムの説明力は弱い。この面を補うには経営戦略論が優れており、制度理論に経営戦略論を加えることで企業の意思決定のメカニズムと、日本企業全体としての日本型人事システムの変化のメカニズムを分析した。 経営戦略論にもさまざまな理論があるが、内部資源の面から企業間の異質性を説明するのに適しているのが、資源ベース理論である。人的資源という内部資源を対象とする人事システムの分析には、資源ベース理論は適した理論であり、近年人事分野で注目されている経営戦略論である。本研究でも、日本という国における個別企業間の人事システムの異質性の分析に資源ベース理論を活用し、企業内の人事システム変化のメカニズムの分析を行う。特にBarney(1991)が資源の模倣困難性の要因として挙げる経路依存性・因果不明確性・社会的複雑性から個別企業における人事システムの形成・定着・変化のメカニズムを分析した。 以上のように、制度理論に資源ベース理論などの経営戦略論を加えることで、日本型人事システムの形成・定着・変化のダイナミックな動きの分析をより包括的なものとした。これは平成21年度〜23年度の科学研究費申請調査(現在、申請中)につながるものである。
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