2008 Fiscal Year Annual Research Report
製品開発活動における顧客インターフェース・プロセスの研究:携帯端末開発の日米比較
Project/Area Number |
18530293
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
安本 雅典 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究科(研究院), 准教授 (40293526)
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Keywords | プラットフォーム / 企業間ネットワーク / システム知識 / ローカル知識 / インタフェース / 製品開発 / 標準化 / オープン化 |
Research Abstract |
平成20年度は、インタビュー調査、資料収集、コンファレンス参加、学会・論文発表を実施し、以下の点を明らかにした。2000年代以降、世界的に、通信サービスと結びついた機能の拡張にともない開発を効率化する必要が高まった。こうして、とくにソフトウェアやICのレベルでは、特定の通信事業者固有のローカル知識に依存する部分、業界で標準化されたプラットフォーム部分、そしてメーカー固有のシステム知識に関わる部分が分離され、企業間ネットワークのなかで別々に開発されるようになった。例えば、米国では、メーカー間で共通化できる部分は業界で標準化し、それをもとに各メーカーが自社プラットフォームを築いたうえで、アプリケーションやサービス運用といった通信事業者に固有の部分を限定して搭載してきた。 しかしながら、いち早く高機能化の進んだ日本では、通信事業者の主導のもと、通信事業者に固有のソフトウェアが標準化されパッケージ化されてきた。このため、通信事業者固有のローカル知識に依存する部分と標準化されたプラットフォーム部分は分離されず、メーカーは結局は通信事業者毎にシステム知識を発達させ端末を開発せざるをえなかった。だが、国際化の必要に迫られ、日本でも同様に通信事業者部分を限定するようになった。 以上の国際的な流れのなかで、日米はじめ世界の携帯電話メーカーは、業界標準部分を組み込んで自社のシステム知識を活かした固有部分を作り込んでおき、そのうえでなるべく下流の開発プロセスでアプリケーションやサービス運用といった顧客に特殊なローカル知識を作り込むようになってきた。このように、それぞれの開発を分離可能とするモジュール構造のインタフェースが業界レベルでも企業のレベルでも階層的に整備されることで、顧客に特殊な知識に製品開発が左右される範囲は限定されるに至り、製品開発のオープン化が進んだことが、明らかとなった。
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