2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530294
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
森田 道也 学習院大学, 経済学部, 教授 (10095490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老根 敦子 駿河台大学, 経済学部, 助教授 (30341754)
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Keywords | フロント・エンド・ローディング / 製造企業経営 / 職能間連携 / 製品開発プロセス / 連動経営 |
Research Abstract |
本年度の研究の成果として以下のような知見を得た。 企業が時間経過の上で高い業績を持続するためには、いわゆるP-D-C-Aサイクルを企業全体レベルでうまく維持することが必要である。企業全体レベルでという意味は、Pが企業ビジョン・戦略目標設定・戦略策定に相当する場合である。ハイパフォーマンス製造企業国際共同研究のデータから、企業ビジョン・目標の設定、戦略策定における職能間統合性確保という2つの段階において経営的の恣意性が介入し、たとえ高い業績を上げていても悪い業績循環に陥いる契機を作り出す可能性が高いことが示された。実践、実践を経営成果に結びつける段階は技術的関係性が働いて比較的因果が明確に存在する。すなわち、高い水準の職能統合的戦略策定が行われると実践活動も高くなり、その活動を高い成果に結びつける管理活動もそれほど困難なことではない。しかしながら、成果を次ぎのビジョン・目標へと発展させ、それを踏まえて職能統合性を確保した戦略策定行動に移すという段階で、前の高い成果が良いそれらの段階を導くかということに関しては統計的にも有意性が低下する。従って、P-D-C-Aの戦略的サイクルを高い水準に持続させるメカニズムの存在が経営では不可欠になる。JIT、品質管理などの実践も、技術的問題以上に、経営ビジョン・目標の明確性、職能間戦略的統合性の浸透において優れ、経営プロセスが一貫した企業の方が優れているという知見も確認している。 近年の注目される経営書の焦点はすべて企業ビジョン、目標、そしてそれに向けた戦略策定とプロセス構築という一貫した経営プロセスの構築の重要性を指摘しており、本研究の成果と整合的である。フロント・エンド・ローディングは上記メカニズムを果たす。しかしながら、そのメカニズムを組織的に確立する際には不確実性への対処、不確実性に伴う組織的対立解消という大きな現実的課題がある。それらは次期以降の課題にもつながる。
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Research Products
(5 results)