2006 Fiscal Year Annual Research Report
研究開発・知的財産戦略における限定合理性の役割の研究
Project/Area Number |
18530295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
和田 哲夫 学習院大学, 経済学部, 教授 (10327314)
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Keywords | 知的財産権 / 研究開発戦略 |
Research Abstract |
本研究は、特許制度を利用する上で限定合理性が果たす役割を探求することを目標として、実証的な発見を段階的に積み重ねてゆこうとするものである。内容として、第一に、経済主体が取引を管理する形式は、限定合理性に由来する取引費用を節減するよう調節される、という取引費用仮説に基づく実証を行っている。第二に、特許データを用いて、企業の研究開発戦略及び知的財産戦略に関し、累積的な研究開発環境における合理性の限界や戦略の逐次更新を示唆する側面がないか探っている。 前者については、今年度、特許引用データにより計測した知識フローが合弁事業によりどのように影響を受けるか、についてトロント大J.Oxley教授と共同研究を継続した。途中結果は平成18年秋にStrategic Alliances, Governance and Contracts(Palgrave, U.K.)の8章として出版された。さらに、実証結果について学術誌投稿を行い、査読者から意見を得たため、時系列側面にまで分析を深め再編集を行っている。この過程で、研究資料収集および研究協力を目的として、カリフォルニア大学バークレー校に出張を行い、特許制度関係の研究者と協議した。 後者については、知的財産権の分析に限定合理性概念を取り込むアイディアについて、「特許と不完備契約」と題した既発表論文と、特許出願分割における合理性限界を題材としたワーキングペーパーを、知財法・商法に関する法学系の研究者との研究会において複数回発表した。同じく、財団法人知的財産研究所においても同趣旨の発表を行った。
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