2007 Fiscal Year Annual Research Report
研究開発・知的財産戦略における限定合理性の役割の研究
Project/Area Number |
18530295
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
和田 哲夫 Gakushuin University, 経済学部, 教授 (10327314)
|
Keywords | 知的財産権 / 研究開発戦略 |
Research Abstract |
本研究では、特許制度を利用する上で限定合理性が果たす役割を探求するため実証的な発見を積み重ねている。 内容として、第一に、経済主体が取引を管理する形式は、限定合理性に由来する取引費用を節減するよう調節される、という取引費用仮説に基づく実証を行っている。第二に、特許データを用いて、企業の研究開発戦略及び知的財産戦略に関し、累積的な研究開発環境における合理性の限界や戦略の逐次更新を示唆する側面がないか探っている。第三に、本年度新たに発見し取り組みを開始した問題であるが、研究開発の基盤となる既存技術の認識空間の測定方法として、従来使われてきた特許引用データ自体の特性を明らかにしようとしている。 第一の問題について、特許引用データにより計測した知識フローが合弁事業によりどのように影響を受けるか、についてトロント大J.Oxley教授と行っている共同研究成果は、海外の学術誌からの査読意見をふまえて10月末に再提出し、年度末現在で返答を待っている。第二の課題については、特許出願分割における合理性限界を題材としたワーキングペーパーを、北海道大学など研究会において発表しつつ改訂している。第三の課題については、経済産業研究所の実施した発明経過に関する調査から、特許引用が既存知識への依拠を示す代理変数としては歪みがある、と解釈できる中間的結果を1月に得て、研究会発表を行うとともにディスカッションペーパーにまとめた。欧州研究者との情報交換では、EUにおける同種のサーベイでも似た結果が得られており、国際比較の観点からも興味深い結果となった。
|
Research Products
(2 results)