2008 Fiscal Year Annual Research Report
研究開発・知的財産戦略における限定合理性の役割の研究
Project/Area Number |
18530295
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
和田 哲夫 Gakushuin University, 経済学部, 教授 (10327314)
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Keywords | 知的財産権 / 研究開発戦略 |
Research Abstract |
本研究では、特許制度を利用する上で限定合理性が果たす役割を探求するため実証分析を行っている。課題として、第一に、経済主体が取引を管理する形式は、限定合理性に由来する取引費用を節減するよう調節される、という取引費用仮説に基づく実証を行っている。第二に、特許データを用いて、企業の研究開発戦略及び知的財産戦略に関し、累積的な研究開発環境における戦略の逐次更新を示唆する側面がないか探ってきた。第三に、研究開発の基盤となる既存技術の認識空間の測定方法として、従来使われてきた特許引用データ自体の特性を明らかにしようとしている。 本年度の成果としては、第一の課題について、特許引用データにより計測した知識フローが合弁事業によりどのように影響を受けるかにつきトロント大J. Oxley教授と行った共同研究に再改良を加え、結果はManagement Science誌掲載が決まった。第三の課題については、経済産業研究所の実施した発明経過に関する追加調査をもとに分析を行った。ある特許が引用している先行特許のうち、実際に重要な先行技術として依拠しているものを発明者に選んでもらうアンケートデータにより、引用されている特許の中での被引用数(前方引用数)が説明力を持つこと、その際に審査官により付された前方引用数が重要であること、などが統計的に確かめられ、学会発表を行った。特許の後方引用の統計的研究はまだ多くないが、後方引用に付された前方引用数が意味を持つことの発見は海外を含めても初めての成果と考えられる。
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Research Products
(3 results)