2007 Fiscal Year Annual Research Report
在宅勤務と「健康」の再概念化:マルチアクターの調査研究
Project/Area Number |
18530298
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
SPINKS W.A. Tokyo University of Science, 工学部, 教授 (10286198)
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Keywords | 在宅就労 / 在宅勤務 / 病欠 |
Research Abstract |
情報通信技術(ICT)の普及および雇用の多様化を受けて、場所を共有することなく就労する事例が増加している。こうした遠隔就労にはさまざまな課題が伴うが、本研究では就労者の健康状態に着目する。特に中心的なテーマになるものは、雇用主、もしくは仕事の依頼先との物理的な場所の共有が存在しないと、就労者が病気した際にそれがどのように認識され、承認されるか、である。平成18年度の準備を踏まえて、平成19年度に具体的に実現した内容は以下の4点である。 a)アンケート調査の実施(在宅勤務者・在宅就業者対象) b)面接調査の実施(企業2社の人事担当者) c)調査データの整理および分析手法の決定 d)初歩的な分析 当初想定していたほど企業の調査協力が得られず、アンケート調査では在宅勤務者(雇用就労者)121名、在宅就業者(自営業者)190名、面接調査は2社とサンプル数がかなり限定されたものとなった。さらに、在宅勤務制度が利用可能である雇用者のうち、在宅勤務を頻繁に行っている者は非常に少数であることが確認された。アンケート調査で得られたデータは遠隔就労による影響を統計的な検証によって明らかにするには制約が大きいものとなったため、定量的な分析では在宅勤務者・在宅就業者の全体像を記述的に明らかにすることを中心とした。併せてアンケート調査の自由回答によって得られた情報の内容分析と面接調査によって得られた情報の定性的な検討を行った。 以上の調査により、就労者の健康状態の認識は、在宅勤務あるいは在宅就労の有無によっては大きく異ならないこと、病気休暇の取得経験は遠隔勤務の頻度よりも雇用者か自営業者かという従業上の地位による差異が大きいこと、等が明らかとなった。
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