2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
桜井 徹 日本大学, 商学部, 教授 (00120460)
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Keywords | 減量経営 / 民営化 / 独立行政法人 / エージェンシー / NPM |
Research Abstract |
平成18年度は、文献・データの収集とその分析を中心に進めるとともに、個別の独立行政法人へのインタビューをおこなった。まず、文献・データの収集と分析から、以下の4点が指摘できた。 第1は、独立行政法人化は、行政の減量化と能率化の2つの目的をもっていたが、しかし、イギリスの場合のエージェンシー化とは異なり、前者の目的が優先された。それは、「国家の後退」という民営化と共通の性格を有していることを意味している。 第2に、実際に設立された独立行政法人は、規模も小さく、数も少数であった。しかも、個々の独立行政法人への政府補助金の削減は実現しておらず、監督官庁の規制も厳しいものがある。 第3は、それでも、中期経営目標終了後の独立行政法人の組織・経営形態変更を通じて、減量経営という目的を実現しようとしている。 第4は、公共部門改革の3つの形態、内的改革、外的改革および中間改革という3つの形態から判断すると、独立行政法人化は、外的改革の方向に進んでいると評価できる。外的改革とは、完全民営化・完全規制緩和の方向である。 これらの知見を具体的事例に即して分析するために、個別事例として、2001年4月1日に独立行政法人化され、中期目標終了時の2006年4月1日に、独立行政法人水産総合研究所と統合されたさけ・ます資源管理センター(統合後は独立行政法人水産総合研究所さけますセンターと改称)を取り上げ、年度末に同センターへのインタビュー調査をおこなった。その詳細な結果は、現在、分析中であるが、同センターの場合、事業所の民営化は、独立行政法人化前の1997年に政策化されていたことが判明した。したがって、独立行政法人化は、それにふさわしい形態として用意されたことがわかる。 なお、この研究の副産物としてすでに民営化されている公益企業に関して、コーポレート・ガバナンス問題に民営化・規制緩和が与えた影響を分析した論文を発表した。
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Research Products
(1 results)