Research Abstract |
研究の結果(800字程度) 一般的には,我が国の独立行政法人化は,民営化ではなく,減量経営の一環としておこなわれたが,実際には,とくに小泉政権下での基本方針の中で,廃止ないしは民営化の「一里塚」としての意味を有するようになった。2001年3月の「特殊法人合理化計画」で,特殊法人の独立法人化が進行するとともに,この傾向は大きくなった。 しかしながら,独立行政法人の中には,民営化ではなく,独立法人として温存されるものも存在するようになっている。その代表例は,2003年に特殊法人から独立法人に移行した日本スポーツ振興センターである。 日本スポーツ振興センターの分析を通じて判明したのは次の4点である。 第1は,いくつかの事業の中で最大の規模を占めるサッカーくじ事業は,予想とは異なり大幅な赤字を計上したが,同事業を休止したり,廃止したりすることを,所管官庁である文部科学省は,中期目標終了期間後も,選択肢に入れていないことである。第2は,給食センター事業や健康安全普及事業など,設立当初の事業のの規模が縮小していく中で,ナショナルトレーニングセンター事業を立ち上げて,組織の温存を図ろうとしていることである。第3は,第1や第2の背景として,文部科学省からの天下り役員が依然として権限を握っているという事情が存在すると言うことである。 しかも,第4に,スポーツ施設運営事業でも,有料入場者数の減少が進行していることである。自治体が運営している同種のスポーツ施設と比較しても,利用料金が高い中で生じているのである。この点では,公共性を遂行している機関と見なすことはできないのである。 こうしてみると,一般的には,高い公共性を有する独立行政法人が,効率至上主義の下で廃止ないし民営化されることは回避されるべきだが,日本スポーツ振興センターの場合は,廃止ないしは民営化しても良いのではないかと思われる
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