2008 Fiscal Year Annual Research Report
女性の参画とポジティブアクションの有効性-多様性(ダイバーシティ)をいかす組織
Project/Area Number |
18530308
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷口 真美 Waseda University, 商学学術院, 教授 (80289256)
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Keywords | 多様性 / ダイバーシティ / 経営成果 / 経営戦略 / 女性の参画 / ポジティブアクション / 管理職 / リーダーシップ |
Research Abstract |
国内における人口減少、事業環境のグローバル化により、多様な人材をいかすことが企業の持続的競争優位獲得の上で重要になってきている。本年度は、ポジティブアクションをすすめながらも、多様な人材の活用が実際のビジネス成果にむすびついている企業の特徴を明らかにすることを目的とした。 性別・国籍の多様性登用が有効に機能した事例(Panasonic)の調査研究を引き続き実施し、多様性をいかす組織の解明を試みた。特に、ポジティブアクションをすすめながらも、実際のビジネス成果にはなかなかつながっていない企業との比較を行った。 その結果、明らかになったのは次のような点である。第1に、ポジティブアクションがビジネス成果に結びついている企業では、女性の登角が限定的、周辺的な活動ではなく、既存組織のあり方そのものをみなおすような組織変革を連動して行っていること。第2に、ポジティブアクションがビジネス成果に結びついている企業では、登用後の組織的な支援が積極的に行われており、成り行きに任せにはなっていない(いつかうまくいけばいい程度の考え方ではない)こと。第3に、多様性を尊重する文化、考え方の浸透といった倫理的、観念論(イデオロギー)的な活動は、あくまでも補完的なものであるとし、実務を遂行する現場管理職にとって説得力に富む活動になっていること。第4に、ポジティブアクションが有効に機能している組織では、多様性をいかす能力を備えた管理職が存在していること。 つまり、ポジティブアクションを有効に機能させるためには、性別・国籍などの多様な人材を増やしたり、役職に登用したりするだけでは不十分で、既存組織の変革、積極的な組織的支援、さらには現場の管理職の理解(納得感を持たせる)、多様性をいかす能力を持つ管理職の存在が重要であることが明らかになった。
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