2007 Fiscal Year Annual Research Report
公共経営における競争原理導入政策のあり方についての研究
Project/Area Number |
18530315
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岸 道雄 Ritsumeikan University, 政策科学部, 教授 (20330011)
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Keywords | 市場化テスト / PFI / VFM / Public Sector Comarator / 性能発注 / Public Finance |
Research Abstract |
公共経営における競争原理導入政策のうち、市場化テストの他、特にPFI(Private Finance Initiative、民間資金を活用した有形固定資産建設を伴う公共サービス提供)に焦点を絞り、研究を行なった。日本においても、約290件ものPFI事業が実施され、PFIの持つ利点ばかりが着目される中、PFIという仕組みが持つデメリットについても詳細に検討し、今後の我が国おけるPFI政策のあり方について提言を行なった。 具体的には、(1)イギリスでは会計上、これまで政府債務としてPFI事業に関わる後年度支払い額がすべて計上されてこなかったことがPFI推進の大きな原動力となってきた、(2)政府よりも信用力が低い民間事業者に事業資金を調達させることはVFMの観点からコスト高になる。PFIではこのコスト高を相殺してさらに費用削減可能とされるが、その計算の根拠となるPublic Sector Comparatorの算出方法が曖昧である、ことなどが明らかとなった。日本においては、政府・地方自治体におけるバランス・シート作成はまだ初期段階にあるものの、PFI事業に関わる後年度負担は、原則債務として計上されることになっている。この点を勘案すると、PFI事業はPrivate Financeではなく、Public Financeの方が望ましい。すなわち、資金調達面では、あえてコスト高となる民間資金よりも公共部門が調達する資金を事業資金とすることとし、従来のPFIが持つライフ・サイクル・コストをベースとした事業マネジメントの仕組み(性能発注、設計、建設、維持管理の包括的マネジメント等)を生かす新たな政策的枠組みが必要と考えられる。
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Research Products
(1 results)