2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530326
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
米山 高生 Hitotsubashi University, 商学研究科, 教授 (00175019)
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Keywords | 再保険 / 生命再保険 / ファイナンス / リスク / リスク制御 |
Research Abstract |
従来において、再保険は、保険の保険として、元受会社の保有限度の拡大のために利用されるものであると理解されていた。つまりより多くの元受保険を引き受けるためには、再保険でカバーする必要があるものという理解である。また再保険でリスクを移転しながら、再保険手数料を稼ぐ点に企業のメリットがあると考えられていた。これらの考え自体は誤りではないが、最近のコーポレート・ファイナンスの研究の進展を前提として再保険について再考すると、再保険の機能をより積極的にとらえなおす必要があるものと思われる。すなわち再保険は保険会社のリスク制御のための一手段であると理解する必要がある。本研究では、再保険をそのように理解することによって、保険会社にとっての再保険の意義と機能をより明確に理解することができるものと考えている。具体的には、従来の再保険研究史を整理し、とくに従来の研究が少ない分野である生命保険の再保険にっいて、歴史的に考察した。さらに現代の生命保険再保険についてもインタビューなどをとおして実態を調査した。その結果、わが国の大規模生命保険会社は、国際的な水準からみて再保険の利用が少ないことがわかった。その理由は、相互会社が多いことも手伝って保険会社の資本の概念が薄く、ファイナンスとしての再保険の利用が遅れているのではないかという認識にいたった。欧州では、ソルベンシーII規制の中でパンデミックリスクを盛り込むことが検討されていると伝えられているが、わが国の生命保険会社も内部リスク管理の高度化と同時に、再保険のファイナンスとしての役割を検討してゆく必要があるものという結論に至った。
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Research Products
(3 results)