2007 Fiscal Year Annual Research Report
流通企業の顧客関係構築戦略と組織学習プロセスに関する研究
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18530328
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南 知惠子 Kobe University, 経営学研究科, 教授 (90254234)
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Keywords | CRM / リレーションシップ / 組織学習 / IT / 小売業 |
Research Abstract |
流通企業における顧客関係構築戦略と組織学習に関して、英国での調査においては、食品小売業のTescoと日用品雑貨チェーンのBootsを対象に、前者については英国での資料収集を中心に、後者についてはインタビュー調査を中心に実施した。調査の結果として、ITによる顧客関係管理システムの効果を最大限にすべく、組織的に情報を収集し、企業内で情報共有するしくみについて学習を重ねていることが明らかになった。 日本における流通企業を対象とする顧客関係構築戦略に関する調査については、2006年11月に896社を対象として、質問紙調査を実施し、308社からの回答を得た。得られた回答データについて、1)企業における顧客との関係性志向がCRMの実施に正の影響を与える、2)顧客関係志向と競争対応行動とは共変動の関係にある、3)CRM実施はロイヤルティ・マーケティングの実施に正の影響を与える、4)競争対応行動は、ロイヤルティ・マーケティングに正の影響を与える、という4つの仮説を形成し、共分散構造分析を用いて分析を行った。CRMは顧客データ実施と顧客との関係構築のためにロイヤルティ・マーケティングの実施を手段として用いる傾向が予測され、競争的な行動が激化する場合は、プロモーション目的のロイヤルティ・マーケティング(購買蓄積に対する報奨行動)をする傾向にあることが予測された。結果として上記1)2)3)の仮説については検証できたが、4)の仮説については有意な結果が得られなかった。インプリケーションとして、流通企業が競争環境下で、競争対応的に行動する場合に、多額の投資を要するCRM実施をしない傾向にあり、また必ずしも競争対抗的なロイヤルティ・マーケティングも実施しないことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)