2007 Fiscal Year Annual Research Report
水産物のブランド化を促進するトレーサビリティ・システムの比較研究
Project/Area Number |
18530330
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松隈 久昭 Oita University, 経済学部, 准教授 (60238996)
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Keywords | ブランド / 水産物 / トレーサビリティ / 安全性 / 漁協 / 因子分析 |
Research Abstract |
本年度は、水産物のブランド化およびトレーサビリティ・システムの現状と課題を調べるために、前年度に行った漁業者(漁協)を対象としたアンケート調査の分析と水産業関係者へのヒアリング調査を中心に研究を行った。 まず、漁業者を対象にしたアンケートでは、水産物のブランド化に必要な要因を17項目に分けて尋ねた。さらに、因子分析を用いて、漁業者が考えるブランド化とは何かを明らかにした。その結果、17項目は識別因子、基礎的因子、差別化因子、組織化因子、高価格因子、物語因子の6つの要因に分けることができた。つまり、漁業者の考えるブランドとは、第1に地域団体商標や認定基準という他の水産物と区別する識別基準が考えられている。第2に、品質の安定、供給量、共販体制という基礎的な項目である。第3に、差別化、高品質、希少性という差別化できる特徴が考えられている。次に、組織化、高価格、物語性がブランド化に必要なことと認識されている。 水産業関係者(漁協、自治体の水産担当者など)へのヒアリング結果としては、第1に漁業活性化への手段として、各地でブランド化が進められていた。ただし、漁業資源の減少や担い手の不足が問題となっている。第2に、トレーサビリティ・システムに関しては、システムの整備に多大なコストが必要なため、その負担の問題を解決することが求められている。 最後に、水産物のブランド化に関しては、消費者、商業者により、受け取り方が異なると考えられる。特に、消費者のブランドに対する意識は、水産物の売上高に関係が深いと考えられるので、今後は、消費者、商業者の意識を調査し、漁業者の意識との比較研究を行いたい。
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