2008 Fiscal Year Self-evaluation Report
Studies in Areal Brand Planning
Project/Area Number |
18530331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Commerce
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
WADA Mitsuo Kwansei Gakuin University, 商学部, 教授 (00119041)
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Project Period (FY) |
2006 – 2009
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Keywords | マーケティング / 地域ブランド / 地域と企業 / アクター論 / 経験価値カテゴリー |
Research Abstract |
1960年代から始まったわが国の高度経済成長体制は、規模の拡大と効率化といった、まさに小売業で言えば、チェーン・オペレーション拡大の時代であり、アメリカのモダン経済社会の日本への移入であった。そこには中央官僚支配、全国集中格一化の社会構想があった。そして、わが国は世界第二位の経済大国となった。やがてバブルがはじけ、わが国は長期にわたる不況に陥り、高度成熟社会の下で将来の姿を見失ってしまった。 不況へのさらなるダブルパンチは、少子高齢化、過疎化である。成熟社会にあってこのような状況下で、日本全国が消費力を失い労働力を失っていった。結果として、多くの地方自治体の財政危機があり、平成の自治体大合併である。今や地方自治体は1800あまりにまで減少し、財政再建を目指して合併を繰り返し、中央では地方分権を唱え、自治体再建の目玉として地域ブランドの構築をあげている。しかし、その効果は局地的であり、地方分権の錦の御旗もまだ成果を上げえていない。 自治体の合併、財政再建、地域ブランドの構築がいまやお題目のように各地で叫ばれている中で、われわれは地域ブランド研究会を立ち上げた。日本経済新聞社の地域ブランド・プロジェクトの立ち上げもあり、研究を重ね、そして研究の中心を現場に置くことにする。 「ふるさと」という発想をベースとした地域ブランドづくり。そしてわれわれがそこで主張したいのは、地域ブランドづくりにあたって必要な要件は何かということである。地域ブランドづくりの基本は、投資発想、計画発想、分析発想である。本研究でわれわれは、計画プロセス、調査計画と技法、コミュニケーション計画、組織計画、企業との連携、ゾーニングなどの概念を提案する。われわれはこれらのことを着実に実行することによって、地域ブランドは構築しうると考えている。 そして、最も大切なことは、地域ブランドづくりは、名産品特産品づくりではないという認識である。近年の食品産地偽装事件でどれだけ多くの地域が傷ついたことだろう。地域ブランドづくりのわれわれの基本的なスタンスは、「買いたいものがあるまち、訪れ滞在したいまち、交流したいまち、そして住みたいまち」なのである。つまり、地域ブランドは総合的な体系であって、単なるブランド品の構築ではないということである。
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