2006 Fiscal Year Annual Research Report
ステイクホルダー・マネジメントのためのCSR会計フレームワークに関する研究
Project/Area Number |
18530348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
國部 克彦 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70225407)
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Keywords | CSR会計 / ステイクホルダー / 環境管理会計 / マテリアルフローコスト会計 / マテリアリティ / KPI |
Research Abstract |
今年度の研究は、主に、1.日本企業におけるCSR会計情報の収集・分析(CSR報告書の内容分析を含む)、2.外国企業のCSR会計情報の収集分析、3.CSR会計情報開示企業(日本企業と外国企業)へのインタビュー調査、の3点を中心に実施した。 1.に関しては、日本企業のCSR報告書を収集し、CSR情報の内容分析およびCSR会計の現状について分析した。その結果、CSR会計については、環境会計以外に、環境管理会計、付加価値会計、防災・安全会計、社会環境会計などの新しい取組が見られることが明らかにされた。 2.に関しては、アカウンタビリティレーティングの評価が高い企業を中心に分析した結果、CSR会計としては付加価値計算書を掲載している企業が若干あることと、ステイクホルダーの情報ニーズの把握が重要なことが明らかとなった。KPIの開示については、EUの規制の動向もあり、ヨーロッパ企業では普及傾向にあった。 3.に関しては、日本企業では環境管理会計のひとつであるマテリアルフローコスト会計の実践企業についてインタビュー調査を行い、マテリアルフローコスト会計とTPMなどの生産管理の手段との関係について分析を行った。イギリスでも企業調査を実施し、BP、ボーダフォン、シェルなどの企業などを訪問し、CSR経営・会計とマテリアリティの関連性について分析した。その結果、CSR経営の先進企業ではマテリアリティ分析を行って、KPIを含むCSR活動の方向性を決定していることが明らかとなった。 これらの研究の結果から、CSR会計には、環境管理会計、付加価値会計等の多様な実務があり、その体系化が必要なことと、世界的動向としてCSR経営のKPIの確立が求められており、CSR会計としてもその動向をいかに取り入れるかが課題であることが判明した。 なお、平成18年度の研究成果は、平成19年に発行される「廃棄物学会誌」に投稿する予定である。
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