2007 Fiscal Year Annual Research Report
パブリック・セクターにおける業績管理システムの導入研究
Project/Area Number |
18530350
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 貴巳 Kobe University, 経営学研究科, 准教授 (80316017)
|
Keywords | 業績管理 / 行政評価 / 地方自治体 / ニュー・パプリック・マネジメント |
Research Abstract |
19年度は,18年度に実施した文献調査と事例調査に基づき,全国自治体向けに行政評価導入の実態把握と導入に関する成功/阻害要因の仮説を検証するための質問票調査を行った。調査は,2007年11月〜12月に実施した。都道府県,政令指定都市,中核市,特例市,その他の市,特別区を含む851自治体に対して質問票を送付し,559の自治体から回答を得た(回答率65.7%)。 調査の結果,回答自治体の83%に相当する464の自治体が,行政評価を導入していることが明らかになった。ただし,行政評価の中でももっとも導入率の高い事務事業評価では,すでに6%の自治体が休廃止済み・検討中であり,行政評価の見直しがはじまっていることが本調査で初めて明らかになった。 研究仮説では,経営環境の複雑性の増大や導入サポートの有無などが行政評価の利用度に影響を与える,また,部門間のインタラクション(相互作用)の大きさや分権化(予算権限の付与)の進展なども,媒介変数として行政評価情報の利用度につながると考えた。考え得る変数項目を質問票に採用し,因子分析を経て因果関係を検証した結果,ほぼ仮説通りの分析結果が得られた。この分析結果から,たとえば,行政評価情報の活用成果を上げるうえでは,導入サポートやリーダーシップが重要であり,これらの取り組みが組織風土にも影響を及ぼしていることが明かになった。経済的なインセンティブを働かせるのが難しい行政組織にあっても,行政評価というツールを使って職員のコミュニケーションややる気に影響を及ぼすことが可能であるとのインプリケーションを得ることができた。 なお,調査結果は,今秋に刊行予定の著書として広く社会に還元するとともに,博士論文として神戸大学に提出する予定である。
|
Research Products
(1 results)