2007 Fiscal Year Annual Research Report
残余利益モデルに基づくリスク管理活動の証券価格に対する影響の実証分析
Project/Area Number |
18530352
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松浦 良行 Yamaguchi University, 大学院・技術経営研究科, 教授 (70274149)
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Keywords | 会計学 / 企業評価 / リスク管理 / 資本市場 |
Research Abstract |
本年の活動の一つ目は、前年度の研究成果である残余利益モデルに基づく月次ベースの資本コストを利用して、税制変更に焦点を当てた企業評価に関する実証研究である。昨年度の活動の結果、リスク管理活動を幅広く捉えて企業価値への影響を分析することがより実態に即していると判断し、リスク管理活動を不確実性に対する対処法と捉えた上で、2003年の税制改正前後の企業の行動と資本コスト、すなわち企業リスク指標の関係を分析し、両者の間には有意な関係があることを明らかにした。本研究の成果は国際学会での発表及び雑誌論文として公表した。 二つ目として、残余利益モデルを触媒としたリスク管理活動と会計数値の関係を明らかにする理論的枠組みの構築のために、赤字企業に注目した先行研究のレビューを行った。なぜなら、リスク管理の巧拙は、証券価格の点ではリスクの増大、会計数値の点では赤字につながると考えられるが、そもそも赤字計上を企業価値の減少要因として単純に位置づけることには問題がある。そこで、まず残余利益モデルをベースとして赤字をどのように考えるべきかを検討しておくことが、リスク管理活動の意味を評価する前提となると考えたためである。この研究成果に関しては、共著書において公表している。 三つ目として、記述的なリスク情報に関するデータセットの構築作業を行った。現在各企業は定性的リスク情報の開示を義務づけられているが、これがどのように利用され、証券価格に影響を及ぼしているかをシミュレーション及びポートフォリオ分析を通じて翌年度検討する。本作業はそのための準備活動であるが完成には至っておらず平成20年度も引き続き作業を行う。
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Research Products
(3 results)