2006 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおけるコーポレート・ガバナンスと管理会計の連携に関する研究
Project/Area Number |
18530353
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大下 丈平 九州大学, 大学院経済学研究院, 教授 (60152112)
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Keywords | 会計学 / 経営学 / コーポレート・ガバナンス / 管理会計 / フランス |
Research Abstract |
本研究は、フランスの企業および各種組織を素材にして、コーポレート・ガバナンス(特にその「内部統制」側面)と管理会計(及びマネジメント・コントロール)との連携のあり方を理論的かつ実践的に明らかにすることを目的としている。具体的には、次の2点を明らかにすることを目指し、研究・調査を実行した。 まずは、一つはフランス管理会計システムの運用現状を捕捉し、次いでそのシステムから原価情報が提供されるマネジメント・コントロールの装置の利用の現状と将来動向について明らかにすることである。これに関しては、フランスのパリ大学とグランゼコールにおける研究者との議論を通して理論的研究を深めていくことができた。特にパリ第9大学の先生方とフランスの管理会計論の動向について議論した。そして、今年度、それを踏まえて、国内の学会(日本会計研究学会)で、フランス固有の管理会計手法である付加価値単位(UVA)手法を取り上げ、活動基準原価計算(ABC)のような大企業向けの方法と比較しながら、フランス独自の中小企業向けのマネジメント・コントロール手法の生成の歴史的意義を報告した(その成果は4月中に京都大学の『経済論叢』で公刊予定)。さらに、彼らが密接な関わりを持つフランス企業(ルノー社関連の有力な部品・コンポーネント会社であるフォーレシア社)を実地に調査することができた。さらにルノー社の財務コントローラーとフランス管理会計・マネジメント・コントロールについて議論することができた。ついでに、管理会計システム比較のために、スペインの日産工場を見学、当社の副社長・エンジニアら日本人幹部からルノーとの提携の現状をうかがうことができた。こうした実地調査から、フランスの有力企業では、わが国の学界レベルで議論されている論調とは幾分かけ離れたマネジメント・コントロール状況にあることを確認できた。 もう一つは、コーポレート・ガバナンスの側面での金融安全法の制定など市場不信を払拭しようとする制度改革の必要性を睨みながら、他方で管理会計やマネジメント・コントロールの側面でのガバナンス機能の重視、その改善の動向を捉え、そして、それら両側面での連携のあり方を探ることであるが、現時点では、これに関する成果をまだまとめきれていない。しかし、そうした方面に関する文献・資料はすでに幾つか集め、読み込みを続けており、来年度にはこれまでの成果を総括したいと思っている。
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Research Products
(2 results)