2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530355
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高橋 隆幸 Yokohama City University, 国際総合科学研究科, 准教授 (50326071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野間 幹晴 一橋大学, 国際企業戦略研究科, 准教授 (80347286)
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Keywords | 会計学 / 税務会計 |
Research Abstract |
研究成果としては、学会報告を行っている。報告は、「買収対価の選択に税制が与える影響-現金か株式か-」についてであり、税制が企業の経営上の意思決定に影響を与えることを証明する実証研究である。具体的には、企業買収において買収対価を現金とする取引(現金買収・TOB=税務上は課税取引)と、株式を対価とする取引(株式交換=税務上は非課税取引)との間の選択を対象としている。この場合の分析手法としては、Scholes & Wolfson(1992)が開発したすべての当事者(all parties)アプローチを応用した、Erickson(1998)の手法を参照して、わが国の制度に合わせた手直しをして開発している。Erickson研究では、税務上の影響を検討すべきすべての当事者は、買収会社、被買収会社および被買収会社株主であったが、日本の税制では被買収会社の課税状態・課税属性は影響を与えないことから、我々の実証研究では、買収会社と被買収会社株主を対象とした。結論としては、以下の二点である(1)買収会社が繰越欠損金を有しているほど、非課税取引(株式交換)が選択される傾向があること。(2)被買収会社において個人株主が多ければ、法人株主よりもキャピタルゲイン税率が低いために課税取引が行われると予想されたが、事実は逆であったこと。 研究の意義・重要性に関しては、わが国においてはこれまでにこの分野の研究が行われたことはなく、日本で初めての研究であり、また課税が我が国の企業経営に影響を与えることを証明した画期的な研究であると考える。 なお、この研究は、2006年9月末までの税制を対象としている。
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Research Products
(1 results)