2008 Fiscal Year Annual Research Report
年金基金会計基準の構築への新たな試み-集団投資スキームの会計からの接近-
Project/Area Number |
18530358
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
今福 愛志 Nihon University, 経済学部, 教授 (80059740)
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Keywords | 退職給付制度 / 給付約定 / 拠出ベース約定 / グローバル・ガバナンス / 拠出建て年金制度 |
Research Abstract |
平成20年度の研究成果は、つぎの5点である。 (1)2008年1月末、ヨーロッパの会計基準設定機関とヨーロッパ財務報告諮問グループ(EFRAG)を含む機関からなる団体「ヨーロッパの積極的な会計行動」(PAAinE)から、イギリスの会計基準審議会(ASB)の主導による膨大な討議資料「年金の財務報告」(The Financial Reporting of Pensions)を題材として、年金基金のガバナンス問題が企業年金のスポンサーの会計問題にとってどのような問題をなげかけているのかについて、検討した。論文名「退職給付制度のガバナンスの会計問題」『産業経理』68巻1号(2008年) (2)IFRSの討議資料として公表された「従業員給付」が、従来の会計基準の枠組みを大きく変える概要とその意味することについて検討された。同討議資料は、従来の会計基準において必ずしも明確にされていなかったスポンサー企業が負っているリスクを会計上明らかにするために「給付約定」という新たな概念を提示して、確定給付約定と拠出ベース約定の2つに分類し、後者を公正価値評価による測定をもとめている。これは、会計基準の新たな方向を示しているとして、評価した。論文名「国際会計基準「従業員給付」の討議資料の問題提起-「給付約定の会計」への転換の意味」『みずほ年金レポート』2008・5/6。 (3)国際財務報告基準へのコンバージェンスの意味を明らかにするために、グローバル・ガバナンスという新たな概念のもとに、検討した。国際財務報告基準の新たな動向を国際的な枠組み形成の一環としてとらえ、そうした動きは会計基準だけでなく、さまざまな分野に共通する問題として位置づけ、IFRSの意味を広い文脈から再把握しようと試みた。論文名「会計基準のグローバル・ガバナンスへの展開」『會計』174巻4号(2008)。 (4)年金会計基準のうち、拠出建て年金制度の会計基準の必要性と国際的な動向を明らかにした。これは本研究テーマにてらして、重要な問題のひとつである。論文名「わが国の確定拠出年金制度における会計基準の研究」『信託研究奨励金論集』29号(2008)。
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