| Research Abstract |
本年度のテーマ:管理会計情報としての医療付加価値分配表をベースとした医療管理会計論の構築
本研究では,患者分配価値を,付加価値会計論とマーケティング論の双方の視点からとらえている。そして,その意義を,定量的に解明し,同時に会計的に測定可能な形で把握し,病院評価指標として活用できるようにすることを前年度(平成19年度)までの研究目標とした。そこで,研究の最終年度である平成20年度には,これらの研究結果にもとづいて,医療損益計算書や医療キャッシュ・フロー計算書に連動した医療付加価値分配表を管理会計情報として開発することを目的とした。そして,この医療付加価値計算書を活用した経営改善システムを医療管理会計論として構築したいと考えた。
本研究の途上において,京都府立病院から,病院経営の改善を兼ねて,本研究への協力を申し出ていただいた。
同病院に対して,聞き取りを中心とした実態調査を行い,「医業利益構造分析のための調査研究報告」を,平成20年8月および9月に,2度にわたって行い,報告書を提出した。また,同年11月には,「病院経営改革とバランスト・スコアカードの役割」と題して,病院長をはじめとする病院関係者ならびに府本庁の医事課職員に対してレクチャーをする機会をもった。
未だ道半ばではあるが,本研究によって構築される医療管理会計論は,これを活用する病院の経営健全性と医療サービスの公益性とを同時に守ることに,またそれらをさらに高めることに多大の貢献をするものと確信する。本研究をさらに発展させ,今後,研究成果を国際学会において報告するとともに,研究に協力をいただいた医療機関に対して,適宜これを還元していきたいと考えている。
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