2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国における社会関連会計の現状と動向についての研究
Project/Area Number |
18530367
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
水野 一郎 Kansai University, 商学部, 教授 (70174034)
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Keywords | 社会関連会計 / ハイアール / 和諧社会 / 環境報告書 / サステナビリティ / CSR / 低炭素社会 / 奇瑞汽車 |
Research Abstract |
本研究の最終年度は、これまでの研究を基礎に、引き続き、(1)研究課題に関する関係文献や資料の収集、(2)中国現地を訪問することによる会計研究者との交流強化、(3)中国企業および日系企業のヒアリング調査が課題となっていたが、これらはほぼ計画通り、実施できた。 今回は2009年12月30日から2010年1月9目まで上海、合肥、北京を訪問した。とくに中国の巨大家電メーカーであるハイアールについては安徽省合肥市に立地するハイアールの工場を見学し、また成長著しい中国の自動車産業の中で非外資系として注目されている奇瑞汽車も訪問し、その経営管理に関する多数の資料が収集できたことは今後の研究に重要な貢献となるだろう。研究者との交流も中国社会科学院、北京工商大学、合肥工業大学、天津財経大学、復旦大学などの教授達と意見交換ができた。また上海では上海に在住している関西大学の校友会(上海関大会)の例会に出席し、日系企業の現状や課題について率直な意見を聴取できた。 中国では2005年頃から企業の社会的責任(CSR)について大きな関心が寄せられ、環境問題と共に中国の研究者だけではなく、ハイアールなど大企業の経営者においては真剣な取り組みが開始されている。この会計的な側面が社会関連会計であるが、その研究や実践基盤も整いつつある。環境報告書やCSR報告書を作成、公表する企業も多くなってきている。中国政府も低炭素社会への転換や「調和のとれた社会」への実現に本格的に取り組んでいる。全体として中国でも社会関連会計の研究基盤は形成されつつある。環境や経済格差の問題が深刻化する中で、中国でもようやく「和諧社会」と共にCSRや、サステナビリティ(持続可能性)が重要なキーワードになってきたのである。
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Research Products
(2 results)