2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における「家」と家業経営の変容過程に関する歴史社会学的研究
Project/Area Number |
18530369
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米村 千代 千葉大学, 文学部, 助教授 (90262063)
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Keywords | 社会学 / 「家」 / 家業経営 / 戦後日本 |
Research Abstract |
初年度は、戦前からの変化を追うための作業として、明治から大正・昭和にかけての日本の近代化過程における家業経営の展開過程についての資料収集と研究枠組みの検討を主に行った。資料収集は、社史・企業史や地域史からのデータの収集を、特に初年度は塩業と醤油醸造業を中心に行った。塩田開発については、いくつかの事例研究はすでに存在するものの農業や商業と比較するとまだ少ない領域であること、これまでにも自身が児島湾の野崎家の研究をしてきた蓄積があったことが理由である。醤油醸造業については、すでにかなりの先行研究が存在するものの、近世が中心であり明治期以降から昭和への変容過程を追うことが本研究課題にとって重要であること、千葉の醸造業の展開でみると、親族関係と家業経営の関連を追うことが可能になると考えられることが背景にある。 研究枠組みについては、「家」を戦前から戦後を通して捉えるための方法論の検討を行った。これまで「家」と一体のものとして捉えられてきた、経営体、動産、不動産、名前、墓の要素を分解して、それぞれの変化を追うことが必要であり、「家」にかかわる意識の有り様も、何と「家」が結びつくかによって多様である。企業体を「家業」経営として見るかどうかも、同じような企業体であっても異なっているし、また同じ企業に所属していても異なっている。そのような差異を捉えるには、「家」を個々人の意識に定位して、各自のライフヒストリーや社会的文脈にそくして捉えるという立脚点に立つことが確認された。
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