2006 Fiscal Year Annual Research Report
理論社会学と公共哲学および少子高齢化問題を通じての公共社会学の構想に関する研究
Project/Area Number |
18530371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
盛山 和夫 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (50113577)
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Keywords | 社会学 / 公共社会学 / 公共哲学 / 少子高齢化 / 年金 / ロールズ / リベラリズム |
Research Abstract |
(1)少子高齢化の問題に関しては、人口構成の中長期的変化が公的年金制度の財政構造に及ぼす影響を詳細に分析し、(a)通常言われる拠出と受給の比率に関する「世代間格差」の主原因は、賦課方式のもとで予想外の少子化が生じたためではなくて、1970年代の制度設計において過剰な給付が設定されたためであること、(b)2004年の改正はその点については大きな改善になっていること、(c)にもかかわらず、今後予想される少子化のもとでは、たとえ一定の経済成長があっても財政破綻が必至であることを明らかにし、これを給付の削減と負担の増大によって回避する際の政策原理として、(d)「相対的年金水準の一定性」という考え方を提示した。この研究成果は近く『年金問題の正しい見方』として広く公表される予定になっている。 (2)公共哲学系の問題に関しては、(a)ロールズ理論の解釈における混乱を正すとともに、(b)現代リベラリズムの論理構造を分析して、その基礎づけ主義的な方法戦略が、多元的社会における普遍的規範原理を提示するという意図に反して、むしろ文化的対立の拡大を招いているというアイロニカルな構造を明らかにした。この研究成果は図書『リベラリズムとは何か』として公表された。 (3)理論社会学の問題に関しては、社会学の発展史を反省的に捉え直す学説史的な作業に着手しており、その一部を「理論社会学としての公共社会学に向けて」(『社会学評論』)などとして公表した。
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Research Products
(7 results)