2006 Fiscal Year Annual Research Report
シンボリック相互行為論における質的研究法の展開に関する研究
Project/Area Number |
18530375
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 勇 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (90176321)
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Keywords | シンボリック相互行為論 / 質的研究法 / 解釈主義 |
Research Abstract |
今年度は,シンボリック相互行為論の質的研究方法論とそれに基づくフィールド研究について,とくに,1990年代以降の展開に注目し,その批判的評価を試みた。最近のシンボリック相互行為論に顕著なことは,「生きられる意味」に焦点を合わせる解釈主義を強める一方で,コミュニケーション・文化産業による意味の生産・媒介・流通が深化したとの認識から,「コミュニケーションと文化への批判的視点」の組み込みをはかろうとする志向である。意味の当事者性と他者性を両にらみしながら,解釈主義的で相互行為論的なフィールド研究を進めようという志向と言ってもよい。こうした志向を積極的に評価しつつフィールド研究に取り組む場合,重要なのは次のような着眼やアプローチであろうと結論した。すなわち,支配的言説・意味・表象,文化物によって,枠付けられつつも,それを乗り越えて,問題当事者たちが創り出す,経験の新しい意味づけ・解釈の可能性や条件を(困難も含めて),相互行為過程の現場-「顔のみえる」範囲での集合的・集団的な活動過程(「ジョイント・アクション」)-から探ることである。そこでは,あらかじめ条件付けられた経験の意味づけ方(語彙と論理)を用いつつ,その創造的「流用・誤用」によって意味変容・創発が生じ得るというカルチュラル・スタディーズ的発想や,従来のシンボリック相互行為論の方法論的原則(Denzin 1989など)が生かされるべきであろう。なお,以上の研究成果の一部を,2006年9月東北社会学研究会大会シンポジウムにおいて「シンボリック相互行為論における解釈主義の展開」と題する報告で発表した。
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