2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本における世論調査の「制度化」に関する歴史社会学的研究
Project/Area Number |
18530377
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
井川 充雄 静岡大学, 情報学部, 助教授 (00283333)
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Keywords | 世論調査 / GHQ / マス・メディア / 占領政策 |
Research Abstract |
近年、新聞社・放送局といったマス・メディアや、政府・自治体などによって種々の世論調査が頻繁に行われている。そうした世論調査によって示された結果が、時には政局に大きな影響を与えることさえあり、まさに世論調査全盛の時代であると言える。そして重要なことは、今日では、世論調査はたんに世論を測定するというだけでなく、世論調査が世論を確定し、それを喚起し、方向付けをするという相互作用さえ見ることができるということであろう。つまり、世論調査は、決して中立的なものではなく、政治制度の中の1つの装置として機能していると言うことができる。本研究は、こうした状況がいかにして成立したのかを歴史社会学的に明らかにすることによって、世論調査のあり方を再検討することである。 2006年度は研究の初年度として、第二次世界大戦後にGHQがどのように世論調査の導入をはかったかについてGHQの内部文書に基づいて検討した。1945年10月に設置されたCIE(民間情報教育局)には、1つのunit(班)としての世論調査班があった。これは、本来、「占領政策や復興計画の遂行に必要な世論調査や各種の社会調査を行うこと」(一般指令第4号d項)がその目的であった。しかし、スタッフは限られており、自前で調査をすることは不可能であったため、日本の世論調査機関と連携して、それらが提出する世論に関する報告書を分析・批評する作業に従事することとなった。そのため、日本の新聞社等の機関を育成して世論調査を行わせる方針をとったのである。 しかし、世論調査を短期間に習得させたため、方法論の精緻化のみが先行し、そもそも世論とは何かというような根本的な問題は残されたままになってしまったと言える。
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