2006 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化の中の「国家なきマイノリティ」ー西欧地域主義の変容ー
Project/Area Number |
18530380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鶴巻 泉子 名古屋大学, 国際言語文化研究科 (70345841)
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Keywords | 社会学 / 地域主義 / ブルターニュ / マイノリティ / フランス |
Research Abstract |
1本年度研究の主眼点:18年度はブルターニュ地域文化団体の選定をし、次に開始する質的調査の足固めをすると共に、同地域が主張する「連帯」の「対象とされる」他国地域での調査を行うことが研究の主眼であった。 2海外調査:当初の計画から数点変更を行った。(1)調査地:ブルターニュ・レンヌ市の代わりにブレスト市を選択(同県内の二都市-ブレスト・カンペールー比較により対照性がより明確化するため)。同じく調査予定地だったスペインのバスク地方とアルジェリアではテロが再開し現地入りは困難となったため、カタルーニャで調査を行った。そのため、ブルターニュからの「連帯の対象」としての調査ではなく、ブルターニュと同様に地域文化を通したマイノリティ文化との連帯を探る地域との比較が課題となった。(2)調査団体:音楽・ダンス系団体を調査する予定だったが、むしろ具体的に移民文化と交流を持つ団体に対象を変更、インタビューを30余り終了。カタルーニャでは自治政府関係者への聞き取り4件終了。 3分析の中心:現時点で、特に両地域の共通点・相違点に注目した場合、次の点が指摘できる。(1)ブルターニュがボトム・アップのイニシアチブで市民社会の中からマイノリティ連帯を探る傾向があるのに対して、カタルーニャでは政府主導の中、地域文化に移民などのマイノリティ文化を統合しようとする6(2)ただし、各地域の支配文化との関係(カタルーニャではスペイン文化に対抗的・ブルターニュでは仏文化と補完性を強調)が地域・移民文化関係に影響。(3)「マイノリティ同士の連帯」という主張はブルターニュに独自のもの。 4来年度の課題:比較精緻化のため、ブルターニュでは制度側、カタルーニャではアソシエーション側に重点的な聞き取り作業を行う予定。 5講演会実施:昨年12月にブルターニュの研究者ドゥ・フランス氏と報告者の講演会を行い、現在の地域主義変容について意見交換を行った。
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