2007 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化の中の「国家なきマイノリティ」-西欧地域主義の変容-
Project/Area Number |
18530380
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鶴巻 泉子 Nagoya University, 国際言語文化研究科, 准教授 (70345841)
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Keywords | 社会学 / 地域主義 / マイノリティ / ブルターニュ / フランス |
Research Abstract |
1研究の目的 グローバル化の中でのマイノリティ地域の連帯志向性を探ることを目的とした本研究の最終年にあたる平成19年度は、特にブルターニュでの質的調査続行、カタルーニャでの移民アソシエーションでの聞き取りを通じて、国別比較を含んだ現在の地域主義についての理論的な展望を提示することを目標とした。 2現地調査 カタルーニャでの調査期間を十分確保できなかったため調査依頼先との予定がかみ合わず、スペインでの調査は不可能となった。代わりにブルターニュでの調査に力を入れ、特にブレスト市での市議会議員などと非公式な会合を持った。さらに移民地区ポンタネゼンで参与観察を深め、各種アソシエーションの活動に実際参加しながら分析を行うと共に、統計資料の補充につとめた。アソシエーションに動員される層・動員されない層についての比較分析も行った。 3調査結果と成果 今回の調査では移民地区でのアソシエーション活動に現れる地域主義の(1)個人ネットワークと(2)組織ネットワークを分類、地域主義が必ずしも政党支持・政治活動に現れるのではなく日常的なアソシエーション活動にも複雑に作用するという側面を明らかにした。さらに、移民地区住民の中でブルターニュ地域文化に動員される層、されない層がほぼ明確に区別されることが分かった。すなわち前者はむしろ移民第1世代・40-60歳・文化資本をすでに有する層であり、後者はフランスで生まれ育った(したがって理論的にはむしろブルターニュ文化に触れる機会がより大きいと考えられる)第2世代・若者・文化資本の希薄な層である。以上の点をブルターニュ地域主義の文化志向性・統合力の問題として、理論的展望と共に総括するため、現在論文を執筆中。(研究の一部はすでに口頭発表・論文を執筆した。現在は移民地区の中でのアソシエーション活動に焦点を絞った論文を執筆、2008年6-7月脱稿予定。)
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Research Products
(2 results)